FKP測量って

どんなもの?

  

電子基準点のリアルタイムデータからスタティックGPS測量に匹敵する精度の測位を行うFKP測量を、著者は実験を通して1999年に日本に伝えました。これからの新しい測量技術(GNSS測量、CG平板測量)と電子国土・地理空間情報に繋がる電子納品の動向について、福井コンピュータの製品プラットフォームに合わせて経験談を連載してまいります。

 

2006年8月号

 

 まずFKP測量については、1997年頃のGPS空中三角測量から出た”ひょうたんからこま”でした。航空カメラの空中位置を擬似距離平均計算ソフトで高精度に解いて見せたドイツ人が、地上でもFKP測量と呼ばれるリアルタイム方式を実験中だと1998年に伝えたのです。

 その頃日本ではキネマティックGPSの適用距離を伸ばすことに苦労していた時期なので、電子基準点に囲まれた30km四方の広い範囲で1cm程度のリアルタイム測量ができると知って日本への導入を試み、様々な様式で実験を重ねてきたのです。

 そして、平成16年度には大阪府豊中市の公共測量作業において、FKP(面補正基準点)測量の概念を端的に説明した「FKP測量作業マニュアル(案)」の原稿を起こし、測量作業規程16条申請の承認を受けることができました。
FKP測量の方式の特徴は、電子基準点が形成する多角形の誤差面補正計算と合わせて、GPS衛星を地球の周りの基準点として擬似距離(時間距離)を基本観測量として網平均計算をすることです。(次号へつづく)

 

【写真】ハノーバー大学ゼーバー教授と
「衛星測地学」について翻訳の協議中

 

【参考資料】

・現況図作成(拡張DM)〜FKP測量・CG平板・電子納品〜 測量設計システム展セミナー:WMV】 【セミナー資料:PDF】

 

 

2006年9月号


地球重心を座標系の原点とすると、GNSS衛星はある時刻における測量基準点になります。これが、擬似距離法平均計算とFKP測量の出発点です。
地上には、例えば日本には1200点の電子基準点が世界測地系の地球重心座標をもって配置されています。このGNSS衛星と電子基準点の位置関係について、擬似距離を基本観測量として算出するのが「擬似距離平均計算」で、主にスタティックモードで行われます。
一方FKP測量では、第1に、電子基準点数局の座標を基にして,第1次の擬似距離平均計算を行った後で、これらの電子基準点の多角形が形成する誤差補正面データを計算センターから新点(面補正基準点)に伝送します。第2に、この面補正基準点において、補正された擬似距離を用いて、GNSS衛星とで構成する擬似距離の束を、擬似距離を基量として平均計算するのが、リアルタイムモードの擬似距離束平均計算(FKP測量)です。
この概念を示した論文、検証実験報告などは下記資料をご覧ください。(次号へつづく)

 

【参考資料】

・面補正基準点測量と擬似距離平均計算の制度検証 【資料@:PDF】 【資料A:PDF】

・ドイツのFKP測量データのサービス「SAPOS」のパンフレット 【資料:PDF】

 

 

2006年10月号

 

リアルタイムGNSS測量とスタティックGPS測量

 

 衛星測量は基本観測量によって擬似距離法と基線解析法に大別され、さらに測定時間モードによってリアルタイム方式とスタティック方式に分けられます。
現在では、Galileo衛星を含むGNSS衛星測量の時代を迎え、擬似距離(時間距離)を基本観測量にして誤差要因を観測地点において、衛星―観測点間の擬似距離束平均計算を厳密に行う方式、精密観測点測位法(Precise Point Positioning)の開発が進んでいます。
この意味では、スタティックGPS測量とFKP測量の解法厳密性の議論と共に、検証データでの比較が実用に向けて重要になってきました。また、電子基準点の公式座標値 (1997年1月1日元期)と日々の座標値の較差と擬似距離スタティック網平均計算(GeoNap)との比較もより厳密な電子基準点座標値を議論するために必要になっています。

 

 

【参考資料】

・電子基準点-FKP測量横浜市域検証実験報告書 【資料:PDF】

 

 

2006年11月号

 

FKP測量:衛星測量学の新しい第1歩

 

 衛星測量学は、地球重心を座標原点にして地球上の地点の3次元位置を、直交三次元座標(X,Y,Z)あるいは緯度、経度、楕円体高で表します。GISでは地球上の地点を長方形の地図上に一義的に定義して10進法の緯度・経度、標高で表すことができます。地図投影法は、日本でも、平面直角座標系を定義して実用上の課題に応えています。

 GALILEO衛星を含むGNSS衛星の時代に向けて、測量学は地球楕円体・地図投影法の定義の確認と共に、測地網平均計算、特にGNSS衛星測量において、基本観測量と計算技術の新しい課題を持っています。この課題に応えた教科書がドイツ・ハノーバー大学測地学研究所の元教授ゼーバー博士の「衛星測地学:SatelliteGeodesy」です。

   この教科書のいくつかの論点を、目次と共にご紹介します。

 

■「衛星測量学」(SatelliteGeodesy)の見所
1 基本事項が的確に解説されている;準拠座標系、時間系、信号伝播
2 衛星軌道運動が摂動などGNSS測量の誤差要因についても説明されている
3 衛星測地学での観測値と基本概念(方法)の中で干渉測位法が位置づけられている。この方法は第11章第1節(11.1)の超長基線干渉測位法の中においても,11.1.4 衛星を用いたVLBIにおいてGPS搬送波位相測定値の計算アルゴリズムであることを説明している
4 「衛星測量学」にむけた基本概念は第7章第3節 GPS観測値とデータ処理 に示されている。ここで、パラメータ推定と線形結合、波数不確定数の解法、非差分位相データを基本間測量として用いる測地網平均計算プログラム:GEONAPとあわせて2重差を用いるBerneseが説明されている
5 第7章第4節 誤差集積量と補正値量 は精度の評価に最も直結する概念が説明されている
6 第7章第5節 ディファレンシャルGPSと常設基準局網 にはSAPOS事業の紹介とFKP測量の概要が示されている
7 第7章第6節 応用分野 には測地基準点測量を始めLBS(位置基盤サービス)に至る多くの分野の利用例が紹介されている
8 第7章第7節 GNSS 地球航法衛星システムには2002年現在のGLONASS,GALILEOの現状が報告されている
9 第7章第8節 GPSに関連したサービスと機関には国際GPSサービス(IGS)その他のサービスが解説されている
10 このほかの章はレーザー距離測定、人工衛星高度測定、重力場測定計画、関連宇宙技術といった衛星測地学の分野が解説されている。「衛星測量学」では割愛することもあろう
11 第12章は概観と応用である

 

【参考資料】

・衛星測地学:SatelliteGeodesy(インデックス部分) 【資料:PDF】

・地球楕円体、地図投影法の定義を解説した図 【資料:PDF】

 

 

2006年12月号

 

衛星測量学と世界測地系

 

 平成11年施行の「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」に先立ち作成された「測地成果2000導入に伴う座標変換の対応に関する調査研究作業」の報告書の著者として日本測地系(当時)から世界測地系への変換を扱いました。

 この世界測地系への変換は地球楕円体を地球重心を原点とする準拠楕円体に座標変換する測量業務の大きな変革です。これは地球重心を衛星軌道の1つの焦点とする測地衛星(GPS,GLONASS,GALILEO)の座標系に測量の原点を統一できるという実用性をもっています。そして測地衛星をある瞬間の基準点とみなし、衛星電波の擬似距離・距離測量で地上の基準点と新点(例えば面補正基準点:FKP) の世界測地系座標を得ることが出来ます。この意味で擬似距離網平均計算あるいは擬似距離束平均計算は厳密性を追及すると共にリアルタイム処理も可能なこれからの衛星測量の標準方式になるものです。

  このような世界測地系の座標変換を扱った資料については下記でご覧ください。

 

【参考資料】

・ 世界測地系座標変換 【資料:PDF】

【協力】ジオネット株式会社

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