2009年6月4日、いよいよ「長期優良住宅普及促進法」が施行されました。任意法ながら減税措置や補助金交付も各種用意されており、施主の注目も急速に高まっています。しかもその背景にある流れは、日本の家づくりに大きな変革をもたらすとも言われています。いかにして、このターニングポイントをチャンスに変えていくのか。――現代計画研究所の加来照彦氏のメッセージをお送りします。
これまで日本の住宅業界は、誰もが自社の利益のことだけ考え、家づくりしてきました。その流れは国のさまざまな施策でも変わりませんでしたが、今回の「長期優良住宅」で、従来と異なる方向が見え始ています。長持ちする家を造り長く住もうという考えは一般の人にも分かりやすく、実際この流れに沿った新しい家づくりの仕組みもどんどん生まれているのです。
この新しい流れの中では、従来のように個々が突っ走るのではなく、皆で1つの方向めざして進むことが大切です。工務店同士はもちろんメーカーや設計事務所等とも連携し、新たな家づくりの環境を作らなければなりません。実際、長期優良住宅に必要な60年の維持保全計画や住宅履歴書の保管など、どれも1社では対応しきれないでしょう。まさに競争から「協働」へ、業界全体が大きな意識改革を迫られているのです。
実際に長期優良住宅を建てるとなれば、認定基準はもちろん、それ以外の、工務店がこれまで意識してなかったことにも、積極的に取り組んでいかなければなりません。たとえば耐久性や維持保全への重点対策として「基礎コンクリート」の品質や強度も意識していく必要があるでしょう。実はコンクリートの品質は、生コン屋さんの技量に大きく左右され、きちんと強度を出し、長持ちさせるよう品質管理するのはとても難しいんですよ。
また、国産材の新しい使い方の研究も必要です。CO2対策や地域の資源・産業の貢献の観点からも国産材利用促進は急務といえますが、その使い方に新しい取組みが求められているのです。――そもそも長期優良住宅で求められる性能を出すには、建材の選択はもちろん、それらをどのように組み合わせて使えばベストなのか?という視点が欠かせません。今後は家全体の仕様についても、コストを含めて早い段階で明確化していく必要があるでしょう。
これまでの建築基準法の4号特例や形式認定など、ある意味バックアップシステ厶が不完全だったため、工務店やハウスメーカーを安易な方向へ向かわせてしまったということがいえます。しかし、いま長期優良住宅という具体的な目標が現われ、仕様を明確化しなければ作れない状況になってきました。「最初から仕様を考え」ながら施工を進める、家づくりが求められているんですね。仕様に対する工務店の考え方を、変えるきっかけになるといいのですが。
問題の4号特例も、来年には無くなるという声も上がっています。そうなれば当然、4号建築物についても、新たに付けなればならない図面が出てくるでしょう。しかし、それらは実はすでに長期優良住宅の申請で添付が必須とされているものなんですね。つまり、長期優良住宅にチャレンジすることは、4号特例廃止に向けた訓練としても有効なのだといえるでしょう。中小規模の工務店も、ぜひ前向きの姿勢で取組んで行ってほしいですね。(談話)
【加来照彦氏プロフィール】
1952年東京生れ。株式会社現代計画研究所の一級建築士/取締役として数々のプロジェクトを手がける。1985年の建設省主催「家づくり85」では最優秀提案となった「民家型構法の家」や林野庁のモデル住宅「国産材ハウス」など、地域に根ざした国産材による家づくりにも取り組んでいる。
【株式会社 現代計画研究所】
設立/1972年5月
代表/代表取締役会長 藤本昌也、代表取締役社長 今井信博
本店/東京 支店・営業所/大阪、広島
事業内容/建築(企画・計画・設計・監理)、都市(調査・研究・計画・設計)
URL/ http://gkk-tokyo.com/
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